ある日利用者様を送っていくと
ご自宅の玄関に大きな大豆の袋が置いてあるのが目に入りました。
「もしかして、アレ用ですか?」
利用者様に尋ねると
「そうだよ、そろそろ始める時期だからね」
とのこと。
利用者様のこだわりがたっぷりと詰まったアレ…そう、お味噌づくりが始まるのです。
これまでずっと続けてきた利用者様の生きがいのひとつ、お味噌づくり。
他にも色々とあった、利用者様の役割は
地域の移り変わりや環境の変化、そしてご自身の加齢など様々な要因で
ひとつ、またひとつ、と段々少なくなってきていました。
「仕方ないね」
そうおっしゃる利用者様。
でもだからこそ、まだ自分が関われる味噌づくりに、より気持ちがこもるのだと思います。
翌週にはさっそく仕込みの作業に取り掛かっていた利用者様。
忙しく立ち回りながら、でも嬉しそうに
「出来たら、またあんたにもやるよ」
そうおっしゃってくれました。
「みんなに喜んでもらうのが一番嬉しいからね」
いい表情をされている利用者様を見て
この”表情を引き出すこと”こそが、お味噌づくりの最大の功績なのだと改めて思いました。