皆さんは”盗人晩(ぬすっとばん)”というのをご存知でしょうか?
日向地区に昔から伝わるもので、秋の名月にお供えした食べ物を、
子供たちが持っていっても良い、とされている面白い行事です。
昔と比べて子供たちが少なくなった今は、
どうやら坂ノ上地区で行われるのみとなったようですが
それでも、この日になると、お供えと一緒にお菓子を用意して
玄関先に置いておく家が、まだあちこちにあるようです。
「うちもやるよ」という、デイサービスの利用者様の家に上がり込んで待っていると、
暗闇の中、懐中電灯のあかりがゆらゆらと近づき、
「こんばんはー、お菓子くださーい」と礼儀正しい盗人たちが元気に声をかけて、袋に詰まったお菓子を持って行きます。
「用意するのも大変だけど、せっかく子供たちが来て、お菓子がなけりゃがっかりするから」
「俺(私)が子供のころも、あちこちもらいに行ったよ」
「お菓子がなけりゃ、お神酒を飲んだりしたこともあったかな」
などなど、地域の皆さん全体で思い出を共有できる素敵な晩は、ゆっくりと暮れて行きました。
ちなみに、お邪魔した利用者様の娘様と昼間に電話でお話しをした際、
「○○さんのお菓子も用意しておくから、ひとつ貰っていってください」
との言葉をいただきました。
では遠慮なく。ありがとうございます。