昨今、「人生の最終段階をどう過ごすか」といった話題が多く聞かれます。
今日訪問したお宅で、そんなお話をしてくださった方がいらっしゃり、ヘルパーとして初心を忘れないための覚書も込めてご紹介します。
お話して下さったのは、90歳を過ぎ、体のバランスが崩れて歩くのが覚束なくなった女性。
その姿を見た身内や医師など、様々な方から「娘さんのところで世話になったらどうか」との言葉を掛けられるそうです。
でもね…
「私はここ(我が家)にいたいんです。
雨戸を閉め忘れただけで心配して玄関の戸を叩いてくれるご近所さんがいて、長年通っている信頼のおける医師がいる。何より毎週こんなおばあさんと笑顔で言葉を交わしてくれるヘルパーさんがいる。だからこそ、自分の三度の食事だけをやればいい生活ができる。私はね、生涯主婦でいたいのよ。娘の後ろで御隠居さんをやるような生活は望んでいない。我がままかしら。でも、折をみて娘にそう伝えるつもりです。」…そう仰っていました。
気持ちがリラックスした状態でいられる我が家に伺うヘルパーだからこそ、聴かせていただけた本音だと思います。そこにヘルパーの存在価値があり、ご本人がいざという時にご自分の言葉で伝えられない状況であれば代弁する役目を任されているのです。
雲一つない晴天のもと、庭の柿の木に小鳥が飛んできた風景を見ながらお話を伺い「いい日だな」と感じた日でした。