「お変わりありませんか?」と伺った時の反応は人それぞれで…
「日付が変わったね(笑)」とおどけて見せる方もいれば、
口先では「変わらないね」と言いつつ、ヘルパーの様子をうかがって
ポツリポツリ話し出す方もいらっしゃいます。
先日のこと。
ヘルパーの顔を見るなり「玄関の外がくさいっけでしょ~。」と仰るご利用者さま。
何か匂ったかな?とヘルパーが考えていると
「かいぶしをやったもんでね。」
「………?」
かいぶし?何かと聞き間違えたかな?
かつお節とは違うよね?
貝から取った出汁なんて話も聞いたことがないし、ここは山あいだし、
踊りをやって匂うこともないし、さて何のことだろう…
そこへニコニコ顔のご利用者様が
「さっき、先頃まいたホウレンソウのところの土がふっくらしてきたもんで、
芽が出たかと思って見に行ったら蚊にくっつかれてね。
この頃は蚊が出てしょんないから蚊燻しをやっただよ。」と。
『かいぶし』=『蚊を燻す』=『蚊取り線香』
玄関前で懐かしい匂いがしたのは、蚊取り線香を炊いていたのね!
と納得しつつ、心の中では大笑い。
新たなキーワード登場の瞬間でした。
しかし、帰りがけに聞かせて下さったのは
大切なご家族を亡くした寂しさや悲しみ、最期の対応に対する悔しさや遣り切れさなどで、
今はむやみに笑うのも憚られるといったお話でした。
表向きは穏やかに生活しているように見えていても、そう見せているだけかもしれず、
何ができる訳ではなくても胸の内を明かしてもらえる存在にヘルパーがなっているというのも
ヘルパーにとってのやりがいかなと思う出来事でした。